「残業削減、生産性向上の実践者から『働き方改革』を学ぶ!」
~ダイバーシティ推進を実現するための働き方改革は、意識改革&実践~
2018年に入り初めての研究会となる第6回目は、ゲスト・事務局合わせて16名が参加しました。
今回は下記のような2部構成で開催しました。
【第1部】主宰者 植田による事前アンケートの分析結果報告
【第2部】プロスタンダード社 若林氏による講演&グループディスカッション
【第1部】主宰者 植田による事前アンケートの分析結果報告
■事前アンケートより(回答数:15社)
会社として働き方改革に取り組んでいるか、それはいつからかとの問いでは、半数近くの47%が数年前から取り組んでいると回答する一方で、電通事件をきっかけに取り組み始めたという回答が40%にも上りました。取り組み施策としては、残業縮減やノー残業日を設けるといった労働時間の短縮へのアプローチが多いようです。
働き方改革の推進は、横断プロジェクトで進めている企業が40%、専門部署・専門担当がいるとの回答は20%にとどまりました。推進部門としては、人事部や経営企画部がその役割を担っているようです。推進部門の活動は、積極的29%・やや積極的36%と6割以上が前向きに捉えていました。
働き方改革に対する各階層の反応には少しギャップがあるようです。経営陣は「歓迎」が7割近く(歓迎27%、やや歓迎40%)いる一方、「やや反発」も13%と一定数いました。さらに管理職となると、「歓迎」6割、「やや反発」が2割となり、やるのはいいけどさほど歓迎はしていない様子がうかがえます。また管理職の場合はベテラン層と初級管理者での世代差もありそうです。一般男性社員は管理職と同様の傾向がみられました。一般女性社員は概ね歓迎の傾向で、特に育児や介護と仕事を両立している社員は喜んでいるようです。反面、育児や介護に該当しない社員からは不満の声も出ているようでした。
長時間労働者は多いかとの問いでは、多い20%・やや多い47%と7割近くがまだ「多い」と回答。詳細をみると、特定部署や特定の個人、特定の時期などで長時間労働者がみられるようです。代休や有休の取得率が高いと回答したのはわずか20%で、7割近くの企業はまだまだ低い状態のようです(やや低い54%、低い13%)。有休取得率の高い人の特徴をみると、うまく計画を立てている、時短勤務者など、限られた時間で結果を出し、ワークライフマネジメントが上手で、メリハリのある働き方ができている様子がうかがえます。一方、有休取得率の低い人の特徴には、私用にやることがない、自分がいないと仕事が回らない、部下に仕事を任せられないと思っている管理者など、残念なコメントが多くみられました。
残業に関する規制・ルールは80%があると回答。一斉退社日は約5割の企業で設けられていました。
少しずつ取り組みが進んできている働き方改革ですが、まだまだ問題、課題は山積しています。研究会に参加している企業では、「個人の意識」と「人手不足」に対する問題意識が高い傾向でした。
アンケート結果の解説後、グループごとに各社の取り組み状況や課題について少し意見交換をし、場が和んだところで若林さんのパートに進みました。
【第2部】プロスタンダード社 若林氏による講演&グループディスカッション
【第2部】プロスタンダード社 若林氏による講演&グループディスカッション
第2部は、株式会社プロスタンダードの代表取締役社長 若林林雅樹様より「働き方改革の推進担当者が乗り越え必須の9つの壁」についてご講演いただきました。
若林様は人材サービス大手の株式会社インテリジェンスにて、一貫して人事を担当し、正社員、約1,200名が受講した「ホワイトカラーの生産性向上研修」を企画、講師を実施。また、全社5,000人の残業削減プロジェクトを任され、2年間で従業員一人当たり月平均40%の残業削減を実現しながら売上高、営業利益を増加させ、さらに従業員が誇りを持って働く意識改革にも成功するという高い実績を残されてきました。2012年に株式会社プロスタンダードを起業されてからは「残業削減、生産性・ワークライフバランス向上」を主軸としたサービスを提供されています。
自己紹介に続き、現在私たちをとりまく「働き方改革」の実情を、様々なデータを用いてご紹介いただきました。「働き方改革」の施策として8割以上の企業が取り組んでいるのが「長時間労働の是正」、次に「業務の見直し」が挙げられていましたが、実際に効果が感じられ従業員の満足も得られたという企業は全体の3割弱にとどまるという結果から、成果に結びつける難しさが感じれました。続いて若林様から投げかけられた“働き方改革の活動を推進するうえで直面している壁(課題)は何ですか?”について、各テーブルでグループディスカッションを行いましたが、実に多くのコメントが発表されました。“仕事量が減らないから、隠れ残業、”早く帰ってもやることがないから帰らない“、”これまでの仕事のやり方を変えない、工夫しない“、”主導する本社と忙しい現場の温度差“、”経営トップ、経営陣の本気度がない“など、など、実際に推進する担当者の悩みはつきないようでした。
若林様からは、担当者が抱える課題の本質をつきつめると隠れた課題があり、その隠れた課題を類型化すると9つの壁が見えてくることから、ジムでの厳しいトレーニングをたとえに9つの壁の乗り越え方を指南いただきました。いくつかご紹介すると、【「情報浸透の壁」“働き方改革=10キロやせてムキムキになりなさい”と1回お達しを出して、実際に動き出す人はいますか?1回の発信で情報伝達が完了するなんで思いこまない!継続的な発信を行い続けるコミュニケーションプランが必要。】【「納得感の壁」“働き方改革=10キロやせてムキムキになりなさい”と言われても、そもそもムキムキになりたい、やせたいと思ってない人は、まず反発します。働き方改革も同様で「会社のため」と思われがち。多くの社員が自分ごととして共感できる「大義名分」を作りこむ。】現実に即した、とてもわかりやすいアプローチの仕方をアドバイスいただき、参加者からも実践に向けた質問や感想が飛び交い、活発なディスカッションが行われました。
最後に若林様から、従業員が働き方改革の現状をどう捉えているのか調査、分析に役立てるためのツールとして同社が開発した「働き方改革9つの壁サーベイ」のご紹介もいただきました。
講演の初めに同社が目指す働き方改革として「社員一人ひとりが高い生産性を発揮できる状態と定義して、その状態に至るまでに残業を削減し、現状の仕事を「効率化」していくことで、新たな「価値創造」ができるようになる。」とお話しいただきましたように、ひとり一人の現状を把握し、自分ごととして取り組んでいただく施策が大切であるということが、わかりやすく整理して理解できました。貴重なお話をいただき、ありがとうございました。
<次回の研究会予告>
2018年5月10日(木)13:30~16:30(13:15開場)
第7回 ~厚労省のモデル就業規則 から副業禁止が消えた!~
『副業、兼業をリードするロート製薬の先進的な取り組みとは』
講演ゲスト:ロート製薬株式会社 人事総務部 第2人事グループ マネージャー 山本明子様
皆さまの参加をお待ちしております。