第1部

Que代表、キャリアコンサルタント、ダイバーシティコンサルタント、エグゼクティブコーチの植田寿乃のミニ講演

『令和時代に経営職、管理職に求められるワークエンゲージメント&人間力』

 1 働きやすさの追求から、働きがい、エンゲージメントへ

   ・コロナ禍で進化したこと、課題となったこと

   ・ワーカーホリックではなくワークエンゲージメント

 2 令和時代に求められるリーダーの『人間力・EQ

   ・平成時代の人財育成の限界

   ・鶏と卵、どちらが先?

 3 人間力リーダー育成 研修のポイント

   ・人が気づき、変わる時

   ・人間力は鏡と同じ、磨き続ける

 詳しくは動画(https://youtu.be/9KFgGtcm2R0)で、ご体感ください!

 

 

第2部:事例発表『人間力アップ研修の効果と課題』

日本電設工業株式会社

人事部 企画課 企画課長 柄澤俊明様

 

柄澤様は、19974月に日本電設工業入社され、現在は人事部企画課長として人事制度の企画・立案を担当されています。プライベートでは鉄道好きの息子さんと一緒に公園巡りという優しいパパというイメージの柄澤さん。日本電設工業様では管理職の人間力アップへの取り組みについて事例発表をしていただきました。

日本電設工業様は、東京本社で、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡に支店があり、創業81年という歴史ある企業です。事業内容は、JR東日本のパートナー企業として、主に鉄道の電気設備を施工。売上高1357億円、従業員2509名。うち女性が149名と全従業員に占める女性の割合が 6%弱と、女性の割合が非常に少ない会社です。

 

取り組みのスタートは、女性活躍推進からだったそうです。会社の持続的成長には社員の成長が必要不可欠。しかし、「女性社員の力を活かしきれていないのでは」ということから、2014年、女性活躍推進に取り組まれました。そうした取り組みの中、女性活躍は、女性のだけでなく、管理職の意識改革も必要なのではないか課題が出てきたそうです。

具体的には、「管理職社員が、男性は仕事、女性は家事・育児という役割分担意識が強く、女性社員はサポート的な仕事をすればよい、女性自身も仕事のステップアップは望んでいないだろうという旧態依然の意識から脱却できない、そもそも会社に女性社員が少ないのでどのように女性社員を指導してよいか分からない」といった内容から、管理職の意識を改革する必要があることが判明。

そこで、2019年より、役員、管理職向けの意識改革研修をスタート。

その研修では、意識改革の加速化・深度化のため、女性社員も一緒に受講するというスタイルで、社員数の約3割強にあたる788名が参加されたそうです。研修後の反応は90.1%の人が「新たな気づきや変化があった」と高評価だったそうです。ですが、2か月後に「研修受講前に比べて自身の意識や行動に変化がありましたか?」の質問に対しては、「変化があった、多少変化があった」が53.6%と約40%減少する結果となりました。意識改革の必要性を理解しているものの、時間の経過とともに研修効果は薄れ、前向きな行動になっていないという結果が浮き彫りになりました。また、アンケートで管理職社員が自社に多様性(ダイバーシティ)を受け入れる風土・文化がないと感じていることも分かったことから女性活躍推進から、社員活躍の取り組みへ大きく舵を切ることにされたそうです。そこで、2021年より、多様な価値観を持つメンバーを動機づける『人間力アップの研修』を実施。全執行役員および管理職社員のうち約40%が受講されたそうです。

研修はすべてオンライン研修。研修の開始時がコロナ禍であったこと、ICTツールを管理職社員が職場で率先して広めてもらいたいとの想いからオンラインと決めたそうですが、移動時間がなく、遠方の拠点の管理職が参加しやすいメリットもあり、受講者からは対面と変わりなく分かりやすい研修だった等の好意的な感想が多数あったそうです。また、研修の実施曜日も重要で、業務が忙しい月曜日と金曜日を避け、水・木曜日に実施することで、受講者のモチベーションも高まり、研修実施後、意識改革や人間力アップの効果は高かったそうです。課題は研修効果をいかに持続させ、行動変化に繋げるかという点です。受講後に研修内容を意識することはあったものの、職場や周囲への良い影響については、目に見える効果が確認しづらいという課題があるそうです。

研修効果を持続させるための工夫として、7か月~11か月後のアンケートの実施や、研修後に取り組んだことを共有する受講生同士の意見交換会を実施されているそうす。

意見交換会では、組織、年齢、職種が違う人を集め、意見交換会を定期的に開催することで、「普段一緒に仕事をすることがない他部署の部長から良いアドバイスをもらった」「直属じゃないからこそ、本音で相談しやすかった」などの効果が出ているそうです。

最後に『社内風土を変革する取り組みに即効薬はなし。粘り強く続ける』ことだとおっしゃってました。本当にそうですよね。地道な活動が会社を未来に導くのだと思います!
柄澤さん、貴重な事例発表をありがとうございました。 (第二部文責 田中慶子)