「現場リーダーの実体験から語るヒューマンスキル研修の重要性」
本日の研究会は、事例ゲストにコープデリ生活協同組合連合会 人材開発部 教育研修課 課長 安保美輝(あんぼよしき)様を迎え、人材育成の取り組み事例をお話しいただき、18名の皆様と活発な意見交換を実施致しました。
【第1部】主催者 植田によるアンケートの分析結果報告
【第2部】「現場リーダーの実体験から語るヒューマンスキル研修の重要性」
【第1部】主催者 植田によるアンケートの分析結果報告(回答数:16社)
アンケートでは、管理職に対するヒューマンスキル研修の実情についてお伺いしました。
経営陣(社長・取締役・執行役員)のモチベーションについては、高い(60%)&昭和企業戦士度・昭和軍隊度も高い(50%)という結果となり、“昭和の成功体験を引きずっているように見受けられる”、“武勇伝のある者がトップリーダーであった時代を生きている”、などのコメントがありました。50代の管理署は増えている(37%)傾向があり、役職定年の流れがあるものの、全社員に対する50代の割合が高く、若手社員が減少&育っていないことが要因になっているとのことでした。その会社を動かす中心にいる50代管理職の昭和軍隊度は高いと回答した方が75%となり、“50代管理職は、育児短時間勤務等に理解がない”、“固定観念が強く、柔軟性に乏しい”、“双方向の面談が下手。一方的に話して相手が黙っていると合意したと勘違いする”など、価値観の違いやコミュニケーションのすれ違いが挙げられました。
30代の管理職は約60%の企業から増えているという回答があり、イクボス度が37%あるものの、約10%の方からは昭和軍隊度が高いという回答もあり“昭和軍隊度の高い上司に染まっている”と感じられていました。
20代~30代のモチベーションはやや低い(37%)、個人差あり(38%)、“会社に入ったときに元気だった社員がどんどんおとなしくなる”、“入社3年目ぐらいからモチベーションが下がってくる”という傾向が見受けられました。20代~30代のワーキングマザー&イクメン度は50%、男女ともに子育てしながら働くことが当然の時代となりつつあります。そんな中、20代~30代でストレスによる体調不良やメンタル不調で休職したり退職する方については、約70%の企業が“いる”、“ややいる”を選択。“管理職に多い、男性に多い”、“雰囲気の悪い職場にいるだけで、自分が怒鳴られることが無くても病んでしまう”など、組織風土の影響が大きいと感じられました。
20代~30代のモチベーションはやや低い(37%)、個人差あり(38%)、“会社に入ったときに元気だった社員がどんどんおとなしくなる”、“入社3年目ぐらいからモチベーションが下がってくる”という傾向が見受けられました。20代~30代のワーキングマザー&イクメン度は50%、男女ともに子育てしながら働くことが当然の時代となりつつあります。そんな中、20代~30代でストレスによる体調不良やメンタル不調で休職したり退職する方については、約70%の企業が“いる”、“ややいる”を選択。“管理職に多い、男性に多い”、“雰囲気の悪い職場にいるだけで、自分が怒鳴られることが無くても病んでしまう”など、組織風土の影響が大きいと感じられました。
現在の管理職の状態には94%の方が、課題があると感じられていて、管理職に対するヒューマンスキル研修が必要だと回答した方も94%となりました。“自分で仕事を抱えて部下に教えない。クレーム等は部下に押し付ける”、“忖度文化が根強く残る部門もある。裁量権が侵食されている。管理職がイキイキ、伸び伸びしていない”、“管理職の人間力が無さすぎる、個人志向の方が多すぎる”、“人間力リーダーに求められる考えや行動を習っていないので、自己流でマネジメント”、“育成のマインド醸成が必要である”など、多数のコメントが寄せられました。今、組織に求められるリーダー像が大きく変わっているからこそ、「自分も他人も活き活きさせられる」人間力リーダーの育成が急務であると確信致しました。
【第2部】「現場リーダーの実体験から語るヒューマンスキル研修の重要性」
今回はコープデリ生活協同組合連合会(東日本の1都7県にまたがるco-opグループ)より人材開発部 教育研修課課長の安保 美輝(あんぼ よしき)さんをお招きし、「現場リーダーの実体験が語るヒューマンスキル研修の重要性」をテーマにco-opデリグループの人材育成の取り組み事例をお話しいただきました。
安保さんは大学卒業後、さいたまコープ(現コープみらい=日本最大の生活協同組合!)に入職されました。生活協同組合のメイン業務である宅配部門に配属となり、商品を届ける際に組合員の方々とコミュニケーションをとる中で、様々な気づきがあったといいます。仕事に邁進する中で、単に商品を配達するだけではなく組合員の方々の生活に密着した存在として、「人と人とのつながり」が大事だという思いを持ち、安保さん自身もそれを大事にしてこられました。
その後、リーダーに昇格するなど、順調にステップアップされるのですが、その中で2つの大きなできごとがあったといいます。それは、安保さんにとってその後の「人材開発に携わる意義」を決定づけるものでした。1つ目は30代でリーダーに昇格したときの苦い体験です。そのころの安保さんは、若手を叱咤激励しながら成果を求めていたのですが、なかなかうまくいかず、指導に苦慮されたといいます。その中で悩みが生まれ、自分のマネジメントスタイルは間違っているのではないか?とい考えるようになったのですが、その時は、何をどうすればいいのかはモヤモヤとした状態でした。
そして2つ目は、社内研修として、本研究会の主催ファシリテーターである植田寿乃氏の「モチベーション・リーダーシップ2日間コース」を受講したことでした。この研修を通じて、「モヤモヤ」とした思いがクリアになると同時に、「なぜこの研修をもっと早く受けられなかったんだ!」と悔しい思いをしたといいます。
その後、安保さんは縁あってコープデリ連合会に出向することになり、そこで人材開発の仕事に携わることになりました。そこで「モチベーション・リーダーシップ」などのヒューマンスキル研修を数多く実施される中で、研修受講後のアンケートがだんだん変化してきたといいます。昔は「自分の上司に受けさせたい(=上司が変わらないと何も変わらない、という他責?)」という意見が多かったようですが、最近は「自分の部下や周囲のメンバーに受けさせたい」というように、いい研修をみんなに薦めたい!というような風土が醸成されてきたようです。
そして、これまで安保さんが「ヒューマンスキル研修」を実施していく中で、以下の3つの大きな効果(良い変化)があったといいます。
1、多様化する個人の価値観を受け入れられる
2、組合員を取り巻く社会環境の変化に対応できる
3、組織で働く職員全員がイキイキと活躍できる
これらはスキルやテクニックではなく、一人一人のヒューマンスキル・人間力の向上であり、多様な人と出会い、語り合うことで磨かれていくものです。そのための場として、ヒューマンスキル研修が非常に重要であるといえます。
また、最後のスライドで安保さんが「人材育成に携わることとは」というタイトルで示された、4つの言葉をご紹介いたします。
1、受容と承認 (人と関わる際の一丁目一番地!)
2、個人が成長を実感できる
3、組織が成長し続けることができる
4、
以上です。
4については、発表時のスライドでもブランクになっていました。その心は、「皆さんでもぜひ考えてほしい」というものです。ぜひ皆さんも、ご自身にとっての「人材開発に携わることとは?」を振り返っていただければ幸いです。
4については、発表時のスライドでもブランクになっていました。その心は、「皆さんでもぜひ考えてほしい」というものです。ぜひ皆さんも、ご自身にとっての「人材開発に携わることとは?」を振り返っていただければ幸いです。
その後の質疑応答では、「ヒューマンスキル研修を、失敗体験をする前にどう学べばよいのでしょうか」という質問がありました。これに対して、「失敗経験を経て、立ち上がって前に進むためにも、ヒューマンスキルを磨いておくことが重要です」というお話があり、激変する環境の中で、失敗を恐れて前に進まないのではなく、トライしながら、失敗しても立ち上がることができる力を持つためにも、ヒューマンスキルが重要であるといいます。
植田先生からの補足としてヒューマンスキル研修を担当する講師は、「失敗経験から立ち上がった回数」が豊富な講師が適任である、というお話がありました。そうでないと、受講者の心に寄り添う研修ができず、心からの気づきが生まれにくいからです。
その後安保さんにも参加者の輪に入っていただき、参加者同士の対話に花が咲きました。安保さんは発表のときから終始笑顔で、かつユニークなタッチでお話をされていました。その人柄に引き込まれ、会場も暖かい雰囲気のまま、研究会を進めることができました。安保さん、ありがとうございました。
文責:キャリアコンサルタント 山岡正子、一般社団法人日本経営協会 山中啓太