女性の活躍を推進するうえで 管理職に求められるダイバーシティへの理解 ~大切なことは、女性だからではなく個の尊重~

事例発表:ホシザキ株式会社

ダイバーシティ推進センター 坪井加寿代氏

人材・組織開発課 杉江 宏之氏

人材・組織開発課 森 卓也氏

 

本日は、ホシザキ株式会社にお勤めの坪井さん、杉江さん、森さんから、女性の活躍を推進するうえで 管理職に求められるダイバーシティへの理解 ~大切なことは、女性だからではなく個の尊重~』と題した事例発表をしていただきました。

 

1. ホシザキについて

 

ホシザキ株式会社は1947(昭和22)に創業され、ペンギンマークでお馴染みの製氷機、冷蔵庫、食器洗浄機をはじめとする各種フードサービス機器の研究開発および製造販売を行っており連結子会社は国内17社、海外33社に展開されています。 

 

2. 女性活躍推進の取り組みと2020年までの総括

女性活躍推進(かがやきプロジェクト)の活動として、2010年プロジェクトが発足、国内グループ各社から選抜された初代プロジェクトメンバーによりプロジェクトビジョンがつくられ、活動は2020年まで続きました。その際のプロジェクトビジョンは、女性が活躍できる風土、数値目標としては、係長以上の役職者に占める女性の割合を10%という目標を掲げスタートを切りました。2010年から2020年までの活動は大きく二つの段階があり、第一段階は2010年から2015年、販売会社15社を中心としてホシザキが女性の活躍を応援する会社ということを社内に啓発していく活動。当時は営業やサービスに女性が少なかったり出産を機に退職する方もいたため、女性の定着促進。そして、女性リーダーの育成です。次に第二段階では、ホシザキ(株)も加わり、女性が働く環境改善につながる規程の見直しも進み、16社のうち14社がプラチナくるみんを取得。また、係長以上に占める女性役職者の割合も9.3%になりました。

2010年から始まった女性活躍推進の下地作り、意識改革を0からされてきた坪井さんから、2015年には杉江さんにバトンタッチされ、活動10年間の成果として次の5つのポイントが総括として挙げられました。

1. 意識改革・・女性活躍推進の理解が進んだ

2. 職場環境の整備・・女性の働き続けられる環境が整ってきた

3. 女性採用比率30%目標・・女性社員の比率が増加した

4. 職域開拓・・女性の営業職、サービス職が増えてきた

5. 能力開発レディース10・・女性役職者の比率が増加した

活動の成果として、女性役職者も増え、女性の働く環境も変わったとはいえ、周囲から様々なつぶやきが聞こえてきたことで、これで終わっていいのだろうかという疑問もわいてきたそうです。そこで、活動体制を見直し、新たな目標を掲げ2021年から活動を再スタートさせたとのことです。

 

3. 女性活躍推進活動2021年からの取り組み

  2021年からの女性活躍推進の体制は、女性活躍推進「かがやき委員会」へ移行し、牽引役は結果責任を取れる経営層に、当時、販売会社に所属する女性管理職13名をアドバイザリーメンバーとしました。人事部長、ダイバーシティ推進センター課長も委員として参画し、イベント等を企画していく体制としました。

2021年からの2025年の女性活躍推進の活動目標は、

    女性管理職の人数を2020年の4倍(50人)にする

    係長相当以上の役職者を2020年の1.5倍(300人)にする

この2つの数値目標を掲げた理由は、組織の中で経営判断や組織運営に意見を言える立場(管理職)の女性が少ないので、その層を育てたい。50人位の束になれば、皆、続いていくのではないかという思いがあっての目標設定です。でも、「管理職を育てるってどうやってやるのか?」という疑問が湧いてきたときに、13人の女性管理職にヒアリングをした結果で、役職者になる前に「こんなことを知りたかった」という内容のスキル研修を実施したとのことです。

ヒアリングではもう一つ収穫あったそうです。13人の女性管理職が口を揃えて「私は上司に恵まれた」と言っていたこと。恵まれたポイントは色々あるが、このことを上司は知っているのか、上司は部下の成長に影響を与えることについて、漠然と知ってはいると思うが、影響力の大きさを知っているのか、自覚しているのかという疑問が生じ、「女性を部下に持つ上司向け研修」を実施するに至ったそうです。

 

4.女性を部下に持つ上司向け研修について

「女性部下育成に関わる上司(男性)がダイバーシティを理解し、女性部下とのかかわり方を知り、コミュニケーションや信頼関係を強化するきっかけを作る」ことを研修の目的として開催されました。対象者は女性部下を持つ男性管理職ですが、研修の特徴としては、応援者として女性社員にグループワークに参加してもらい、意見を聞くことで、より女性部下への理解を深めてもらうこと。女性社員がグループワークに参加したことによる感想としては、・新鮮でよかった、・女性の仕事に対する考え方を聞くことが出来た等女性社員の参加によって男性上司の気づきが多かったようです。

研修内容の大きなテーマとしては5つ。

    ダイバーシティ推進の背景とゴール

    それぞれの悩みとその背景

    男性上司の4大悩みVS女性の気持ち

    女性活躍を支える動機付け

    最優先は管理職の人間力アップ

実施にあたっては、会社(16社)によって受講環境が違うため苦労したそうです。一人1台のPCがない、個室がない、1台で4~5名で受講する場合や1会場から複数で参加される場合の設営のアドバイスやグループに1名女性社員が入れる様に参加をお願いしたりと研修がスムーズに運営できるよう各社にお願いしていく等、スムーズに研修を開催するためにご苦労された森さんですが、研修は全30回、625名の参加で過去最高の参加人数になったとのこと。会社によって参加人数が少ないところもあり、今後実施する際の課題となったものの、内製により講師は坪井さんが全30回をすべて実施され、評価点も5点中、4.7点と高評価を得ることができたことは、大きな収穫だったのではないでしょうか。準備から実施までを杉江さん、森さんがご苦労されて関わったことで、この研修が大成功に終わったのだと思います。登壇されている坪井さん、杉江さん、森さんからは、お互いを信頼していること、チームワークでつながっていることが画面越しに伝わってきました。とても素敵な「チーム、ホシザキ」だと感じました。2022年度の研修内容もスタートするとのこと。今後のお取組みも楽しみです。

(文責 昌宅 由美子 高久和男)