2022年3月25日(金)
『全社員面談から見えてきたもの、社員1100人の本音、悩み、そして会社の未来
 ~社内キャリアコンサルタント、産業カウンセラーとの1時間~』 
<事例発表>
さくら情報システム株式会社
人事部 キャリア開発センター 兼 HR推進グループ チーフアドバイザー 高久 和男氏(キャリアコンサルタント)
人事部 HR推進グループ 照山 寧子氏(産業カウンセラー)

第1部

まず初めに本日のファシリテーションを担当した昌宅から、皆さまの企業・組織の状況について、11社から頂いたアンケート結果の共有を行いました。一部抜粋して、いくつかのコメントと共にご紹介します。

Q1.  現在、在宅ワークやリモートワークが行われていますか?
①基本的に在宅 0%
②週3日~4日 27%
③週1日~2日 55%
④行われていない 18%
⑤わからない 0%
・リモート頻度(②+③)がほぼ横ばい
・交代でスケジュールを組んでおり、部署で70%出勤率で調整
・全社的にリモートワーク率70%の目標がある

Q2. 会社の組織風土改革に関しての全社員に向かっての取り組みを行っていますか?
①行っている 27%
②少し行っている 37%
③計画中 18%
④行っていない 18%
⑤わからない 0%
・浸透のためのセミナー・トップメッセージ発信
・パーパス、バリューなどが新しくなるタイミングでグループ全体で会議があり、社長より思いを伝えてもらう機会があった
・社内ポータルサイトにトップメッセージ掲載を計画中

Q3. 人事・人材開発部門が社員に対して直接面談を行っていますか?
①行っている 9%
②少し行っている 46%
③計画中 9%
④行っていない 27%
⑤わからない 9%
・人事部員が毎年、対象と人数を計画に織り込み、実施
・育児休暇、時短勤務等希望者 女性育成対象者、研修受講者等、人事や、育成教育を担当する部署の責務範囲において直接面談している
・人事部門は社員と直接面談は行わず、社員の上司(管理監督者)と面談を行っている。

Q4.会社にセクハラ・パワハラ・キャリアに関わる相談の窓口が活用されていますか?
①活用されている 36%
②少し活用されている 55%
③計画中 0%
④窓口がない 0%
⑤わからない 9%
・ハラスメント等コンプライアンス関係のヘルプラインがある。キャリアについての相談窓口という形ではない
・事業所・地域支所ごとにセクハラ・パワハラ相談員を複数名ずつ置いている。キャリア相談窓口では専門のカウンセラー複数名が全所からの申し込みに対応(対面またはオンライン面談)

Q5.社内でキャリアコンサルタントの資格取得者が活動していますか?
①活動している 0%
②少し活動している 18%
③計画中 9%
④活動していない 55%
⑤わからない 18%
・組織開発支援、各種キャリア関連のワークショップ実施、キャリア入社・新卒入社向け研修の企画、各種研修の企画・運営、自己申告の企画運営、個別面談等
・キャリアカウンセリング対応、自己啓発セミナー講師

Q6.社内で産業カウンセラーの資格取得者が活動していますか?
①活動している 18%
②少し活動している 9%
③計画中 9%
④活動していない 37%
⑤わからない 27%
・障がい者スタッフのメンタルケア、面談を実施、幅広くこの資格を活用できる機会を検討している
・健康管理室の保健師、看護師が資格を持ち、健康相談メンタルヘルス相談を行なっている

Q7.社員のキャリアコンサルタントや産業カウンセラー資格の取得を奨励していますか?
①奨励している 0%
②少し奨励している 0%
③計画中 0%
④していない 82%
⑤わからない 18%
・個人での取得に留まっている

Q8.人事・人材開発部門が社員面談を行うことに関して課題がありますか?
①ある 18%
②少しある 37%
③ない 9%
④わからない 36%
・人的リソースがない
・これ以外の業務が繁忙のため、社員全員と面談する人手・時間がない

第2部

第二部は、『全社員面談から見えてきたもの、社員1100人の本音、悩み、そして会社の未来 ~社内キャリアコンサルタント、産業カウンセラーとの1時間~』をテーマに、さくら情報システム株式会社  高久 和男さん、照山 寧さんよりご講演いただきました。

 さくら情報システムは太陽神戸銀行、三井銀行の関連子会社としてスタートしたシステム会社で、創業50周年を迎え、従業員数1091名、男性747名、女性344名、平均年齢43.7歳の会社です。
今回ご発表いただくのは研究会の運営スタッフでもあるさくら情報システム、キャリアコンサルタントの高久さんと同じ人事部で産業カウンセラーの照山さんです。
 前半は高久さんに発表いただきました。今回、人事部が全員面談を行うことになった背景は、働き方の多様化が進む中、社員一人ひとりの気持ちに寄り添って面談し、異動・配置転換の実現、メンタル不調予備軍のリファー(産業医面談)につなげたいということです。また、人事異動はほとんどなく、同一部署に長くいる方が多いため、潜在的な問題を把握するためにも個人面談が必要なのではないかとの懸念もあり実施されたそうです。
プロジェクト名は『さくらモチベーション運動』通称『さくらもち!』、とても素敵なネーミングですよね。
 全社面談の進め方は事前に行ったキャリアプランシートで異動希望など緊急度の高い方、次に20代、30代の若手社員に、その後対象者を広げていかれたそうです。
ヒアリング内容は健康面、仕事面、労働環境、異動希望、会社や人事への質問など5点。
キャリアプランシートに書けない本音を個人面談で丁寧にヒアリングされたそうです。
面談後は面談記録を人事情報の一元管理ツールに反映させ、直属の上司だけ閲覧可能にしたそうです。また、面談後すぐに対応が必要な方にはすぐ二次面談を行い、今後の対応を検討するという
体制はシニア社員(専任)2名、兼任でキャリアコンサルタント、産業カウンセラー、看護師、看護師&産業カウンセラーの5名、合計7名で一部の方を除き938名の個人面談を実施されました。
社内に専門の資格を持った方がいらっしゃるというのは素晴らしいなと思いました。
専任のシニア社員2名の方が誰を面談するのか割り振りし、その後、メールで日程調整に入ったそうです。このスケジュール決めが大変でかなり時間がかかったそうです。
実際の面談は事前に面談チェックリストを入力していただいたので、面談自体は比較的スムーズに進めることができたそうです。
 後半は産業カウンセラーの資格を持つ照山寧子さんにお話しいただきました。
照山さんは25歳の時、プログラマーとして高久さんの部下だったそうです。初めて案件リーダーを任命され、悩んでいた時に子供が生まれたばかりの高久さんに「私も子供が生まれたからといってお父さんとしての振る舞いが完璧にできるわけではない。子供と一緒にお父さんとして成長していくんだから、リーダーになったからといってすぐにリーダーになれるわけではない。だから安心してリーダーをやっていったらいいんじゃない」と言っていただいたことが今でも心に残っていらっしゃるそうです。その後人事部に異動され、6年前に高久さんを人事部に迎え、今日一緒に発表できて嬉しいと満面の笑みでおっしゃっていました。素晴らしい上司部下の関係にとても感動しました。
 照山さんは普段、復職支援や相談対応、健康経営などに従事されているそうです。趣味は保存食づくりという照山さんは、優しい語り口調で微笑みを絶やさない素敵な女性です。
面談を実施して見えたことは体調良好、問題ないと答えていても実際は問題があるのに問題ないと思っているような方も多く、健康リテラシーをもっと高めていく必要性を感じたそうです。
また、勤務管理表では見えなかった病気との両立をされている方や体調不良の方がいらっしゃるなど面談したからわかったことも多かったそうです。
また最近困っていることや悩み、など社員の高齢化がすすんでいる会社ならではの悩みなども打ち明けてくださったそうです。また在宅勤務の悩みも多かったようです。職場の人間関係は90%が良好でしたが、そうでない方もいて全員面談をしたことで見えてきた課題もあったそうです。
 皆さん、普段は業務や部下やお客様などで忙しく、自分のことについて考える時間がない方も多く、面談を通じて仕事に対する自分の思いやチャレンジしたいことなど、新たな気づきがあってよかったというようになればとても効果的だと感じたそうです。今後はこちらが質問して相手の情報を得るだけのものではなく、面談する側もされる側も、本当によかったなと思える面談にしていきたいなとおっしゃっていました。
さくら情報システム様の全社面談、とても素晴らしい貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

(文責:山岡正子、田中慶子)
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