2021年7月29日(木)『ガラスの天井を壊せれば未来が変わる ~次世代への女性活躍推進の指針~』
事例発表:SMBCオペレーションサービス株式会社 
取締役副社長 浅山理恵氏

【第1部】
まず初めに、主催者である植田よりアンケート結果の共有が行われました。今回は25社の皆様からご回答をいただきました。

Q1.現在、在宅ワークやリモートワークが行われていますか? 
①基本的に在宅:8%
②週3日~4日:36%
③週1日~2日:44%
④行っていない:12%
と言う結果でした。「コロナ感染症防止対策として、緊急事態宣言地域は出勤率30%以下、それ以外は社内接触率50%以下の勤務体制」「出勤率25%以下、コロナ終息いかんにかかわらず働き方改革として今後も在宅基本」「本社系70%、工場50%目標で継続中」という企業もあれば、「出社が基本」「週2日までOK。ただし、ほぼ毎日出勤の人が多い」「工場・研究所は基本的に出社、オフィスは在宅勤務の人が多い」などのコメントをいただきました。

Q2. 会社(組織)の女性比率は ?
①50%以上 :20%
②40~49% :16%
③30~39% :12%
④20~29% :20%
⑤10~19% :4%
⑥0~9%   :28%
という結果でした。また在職している女性社員に関して「一般職が多数」「女性社員そのものの人数が少ない」「採用枠数に関わらず1~2名しか入社しない」「10%強。製造現場での採用が増えた。技術系・開発等はまだ少ない」「50代以上は女性比率10%程度ですが、20代~40代は40%程度」などのコメントを頂きました。

Q3. 会社(組織)の女性管理職の比率は?
①50%以上  :8%
②40~49%  :4%
③30~39%  :0%
④20~29%  :4%
⑤10~19%  :20%
⑥0~9%   :52%
⑦わからない :12%
という結果でした。「まだ、大変低い」「女性がゼロ」「100名以上の管理職の中で4名のみ。最高位は部長職。ママさん2名」「マネジメント職(M職)と、専門職(P職)と合わせると2割。副部長のM職では3割近い」「店舗の女性比率は90%」「11.4% 過去5年ぐらい伸び悩み」などのコメントをいただきました。

Q4. 女性管理職の育成&応援のために何か施策を行っていますか ?
①行っている   :12%
②少し行っている :36%
③計画中     :20%
④止まっている  :4%
⑤行なっていない :24%
⑥わからない     :4%
という結果でした。「女性向けの成長支援セミナーやワークショップを開催。また、社外のセミナーへの参加を後押し。しかしサポートのやり方が散発的」「管理職候補者登録制度・メンター制度などと合わせ、意欲醸成・経験付与につながる研修の実施」「社長と女性管理職20人(本部長以上を除く副部長、部長、副本部長)とのランチ会を開催」「選抜育成プログラムなど実施中」「研修等は継続的に行っていて意識は上がっている」「今年度新たに取り組むことも計画している」などのコメントをいただきました。

Q5. 会社(組織)の女性経営職(執行役員以上)の比率は?
①50%以上  :4%
②40~49%  :0%
③30~39%  :0%
④20~29%  :4%
⑤10~19%  :4%
⑥0~9%   :80%
⑦わからない:8%
という結果でした。「取締役1名、執行役員2名、顧問1名」、「社外取締役1名」「取締役1名」「弊社内ではいません」などのコメントをいただきました。

Q6. 会社(組織)の経営職(執行役員以上)の平均年齢は?
①60歳以上   : 24%
②55~59歳   : 40%
③50~54歳   : 8%
④45~49歳   : 8%
⑤45歳以下   : 0%
⑥わからない : 20%
という結果でした。「若返りを図っているようす。しかし、母数は男性が多い」、「執行役員は40代~60代までで50代が中心。取締役は50代~60代まで」、「恐らく平均50後半だと思う」などのコメントを頂きました。

Q7. 女性経営職の育成&応援のために何か施策を行っていますか?
①なっている    20%
②少しなっている  32%
③なっていない   24%
④わからない     24%
という結果でした。「経営層以前の管理職を増やしていこうという段階です」「今後検討していく」「まずは経営基幹職の育成を重点的に行っています」「まだまだ、部長職を作ろう!ぐらいのところです」「女性経営職に特化した育成は行っていない」

Q8. 女性経営職の比率はダイバーシティ推進における課題となっていますか?
①なっている   :20%
②少しなっている :32%
③なっていない  :24%
④わからない    :24%
という結果でした。「2030年目標:2名」「増えてはいるがまだ比率は少ない」「部長になる人の思想とか理想があるか不明だから。稼ぎ手が評価される会社」などのコメントをいただきました。

Q9. あなたの職位は?
①経営職(取締役・執行役員)  :12%
②上級管理職(事業部長、部門長):8%
③初級管理職(課長、課長代理) :44%
④一般社員           :24%
⑤その他             :12%

Q10. ダイバーシティ推進の中で女性経営職(執行役員)の人数が増える必要性を 感じますか?
①感じる     :64%
②少し感じる   :20%
③あまり感じない :0%
④わからない   :16%
という結果でした。
「メジャーな多様性要素の一つとして必須と考えます」「女性が入ると、会議が活性化する。忖度なして意見が言える」「店舗の客層を考えれば必要性しか感じない」「レイヤーごとに全体男女比とパラレルな状況を目指すべきと考えている」「女性経営職も必要だと思いますが、まずは女性管理職が増えることで、一般社員の女性から「管理職になる」という選択肢が増えるのではないかと思う」「経営職の女性が50代ですと、30代とは考え方が異なり、世代間格差がある。(30代からみると、50代女性を尊敬はするがあこがれは持っていない)」「経営が男性目線に偏ってしまう。また、成長支援の観点で女性に目指してほしい一つの道しるべのモデルがいないことで後進にどのように目指してもらえばよいかうまく伝えにくい」「女性」が増えることは大切だが、経営職(執行役員)の意識が変わることも、重要だと感じている」などたくさんのコメントをいただきました。

【第2部】
第2部は三井住友銀行を経てSMBCオペレーションサービス株式会社 取締役副社長 としてご活躍されている浅山理恵さまより『ガラスの天井を壊せれば未来が変わる ~次世代への女性活躍推進の指針~』をテーマにご講演いただきました。

◆サラリーマン人生を振り返る
 前半は自己紹介もかねて、時代背景を織り込みながら、昭和・平成の時代を男性と同化しながら生き抜いてきた「サラリーマン人生34年」の振り返りをお話しくださいました。
 前回の東京オリンピックが開催された前年となる1963年に生まれ、男女雇用機会均等法が施行された翌年の1987年に総合職1期生として住友銀行に入行し社会人スタート。総合職といえども女性は制服&お茶くみ当番があった時代に、キャリアウーマン&グローバルな働き方にあこがれ、東西冷戦から世界が激動するまっただ中に国際部門へ。世の中が大きく変化する中、自分も何か大きなことができるのではないかという前向きな気持ちがあったそうです。
 1991年、人事部へ異動となり人材育成、採用を担当。人事部への異動は想定外だったが、考えて、企画して、提案して、実行する、この仕事をとても面白く感じることができ、自分自身の成長も実感することができた時期だったとのことです。プライベートでは結婚されたこともあり、社内のルールで“何で女性だけ?おかしいな?”と思うことに気づかれました。当時の上司から「おかしいと思うなら起案して変えたらいいじゃないか」と言われ実行したところ、社内のルールを変更することができました。この経験が、“おかしいと思うことは、ちゃんと具申すれば変わる。決められているから仕方がない、とあきらめるのではなく、行動を起こせば変えることができる”、という考え方の原点となったそうです。一方で、女性は結婚したら仕事を辞めると思われていた時代だったこともあり、結婚しても働き続けることを選択したことに対する価値観の違いに、悔しい想いをしたこともあったとのことでした。
 1998年、金融危機の真っただ中にまだ男性中心だった法人営業部へ異動。同期と比べると10年遅れでの営業スタートだった為大変苦労され、プライベートでも身内の不幸や出産時期への葛藤もあり、公私ともに悶々とされていた時期だったそうです。
 2001年、長男を出産、同じ年に住友銀行とさくら銀行が合併し三井住友銀行が誕生。復帰にあたっては仕事と育児の両立にすごく悩まれたそうですが、「子供は自分にとってのエネルギー、育児と両立することで不安をエネルギーに変えられる」という気持ちを持ち復帰。復帰後は法人部門からリテール部門へ異動となり、かつ、女性活躍推進の流れもあり副支店長として初めて管理職を経験することになります。ここで、管理職として担当者との役割の違いを痛感。“自分が業務に精通している、仕事ができる、ということだけが大事なのではない”、ということを思い知らされたそうです。両立については、上司の方の支援もあり、次のステップとして支店長を目指しつつ、家庭をやりくりする働き方ができたとのことです。
 2003年、支店長へ就任した際は、女性活躍という時代の波はあれども、仕事で実績を出すことが大事、自分のプライドとしても業績表彰など形になる実績を出したいという覚悟を持たれていました。そして、支店長として組織を動かす管理職の醍醐味がだんだんとわかってきた時期でもあり、「管理職の役割を任されたら、まずは引き受けることが大事、とりあえずやってみることが大事!」との言葉がありました。
 2005年、女性の多いリテール部門に女性活躍の推進室を作ることとなり室長として異動。当時は、“女性の活躍や両立というのは自分事、自分で何とかしなきゃと思っていた。それが仕事になる?”という戸惑いもあったそうです。他社の事例や有識者・外部講師の力もかり、自社に相応しい「両立支援」の在り方、制度策定に尽力されました。 “女性が多いリテール部門だから女性活躍推進”というのはおかしい、多い少ないは関係なく全社で取り組むべき、という具申を続け、2008年、人事部にダイバーシティ推進室ができ室長として就任。一事業部門から会社全体への取り組みへ、両立支援から女性活躍推進へと拡げていかれました。そしてこの時期、2007年に2人目のお子様を出産され、管理職として産休・育休を取得、6歳違いなので、保育園12年、小学校12年。本日はお時間がなく伺えませんでしたが、いろいろなエピソードがありそうでした。
 2011年、再び現場へ異動となり、支店長を束ねる地域本部の営業副部長を経て部長へ就任。「事件は現場で起こっている」と、本部と現場の両方を経験することで、現場での困りごとを本部で解決することの大切さ、現場と本部の間をつなぐ大切さを実感。
 2014年、再び本部へ品質管理部の部長として異動。お客さま本位の業務運営、苦情対応からリスク管理・品質改善まで幅広い対応を行う中で、現場で感じていた矛盾、本部でやるべきと思っていたことを自分の仕事のなかで実行していかれました。そして、上手に意見具申して変えていくことの大切さを、改めて学ばれたとのことでした。
 2015年、執行役員に登用、同じ部長職でも出席する会議、情報量、経営との距離などの違いがあり、少なからずポジションパワーも実感できたとのこと。
 2018年、部長職が外れ、役員でありながら副担当という立場になった時に、その先の未来に対する不安を感じられました。人生100年時代に向けたキャリアの活かし方は、仕事でもテーマであった上、現在もご自身の中でもひとつの課題となっているそうです。
 そして2021年、ファーストキャリアを卒業、となるのですが、自分で決めた卒業ではなく、会社に決められた時期にセカンドキャリアがスタートする。お子様も年齢を重ねて親離れしていく時期となった。この区切りがひとつの転機となり、次のステップに向けて自分自身がどうありたいか深く考える機会となったとのことです。

◆女性がもっと輝く未来を目指して
 後半は、“参加された方々が、共通の課題を見つけていくプロセスになれば”、との想いのもと「企業における推進のヒント」と「組織のこれからを担う皆さんへのエール」としてお話しいただきました。
 最初に、ご自身の中にある指針をご紹介いただきました。ひとつめは「進取敢為」(しんしゅかんい)。進んで取って敢えて為す、新しいことをどんどんやりなさい、やるなら真っ先にやりなさい、新しいことやると上司が褒めてくれる。そんな風土があったからこそ、女性活躍推進、ダイバーシティ推進や品質管理などでもいろいろと挑戦することができたとのことです。
 ふたつめは「情報の交差点に立つ」。同じ交差点に立っていても、いろんなものが通り過ぎる中で、気づく人と気づかない人がいる。交差点に立とうとする意識、気づきを得ようとする意識を持つことが大切であり、ご自身も実行されてきたとのことでした。そして「繋がる」「始める」「届ける」のキーワードからは、自分で動いて外と繋がる、新しいことを始める、そしてそれを当事者である人に届ける、採用であれば学生に届ける、ダイバーシティであれば両立支援を求めている人に届ける、そのことを意識してきたというお話しがありました。
 浅山さまの仕事人生の根底には「自分が仕事をすることでもっといい会社にしたい、もっといい銀行にしたい」というピュアな想いがあり、これまでご紹介いただいた全ての業務についてその気持ちを持って取り組んでこられました。一方、自分の想いだけではどうにもならない、難しいと感じたのは、“組織全体を動かし、影響を与え、変革し続け、そして文化にする”こと。誰か一人の想いではやりきれない。だからこそ、組織として継続して行うことが重要であり、ご自身のこれからの人生でも「自分が関わることでもっといい組織、もっといい社会にしたい」という気持ちを大切にしたいとのことでした。そして、ご自身が生涯関わっていきたいテーマとして「Gender、Gerontology、Governance」を挙げられ、自分が携われる場面で良い影響を出せる人間になっていきたいとの言葉がありました。
 女性活躍推進のために必要な項目としては、まずは理念・目的、何のためにやるのか言語化することが大切である。女性活躍推進は福祉ではなく「企業の成長のため、ビジネスの成長のため」であることを説明し、理解を得ることが大事。その中で、誰でも活躍できる両立支援や能力を活かすための管理職登用・役員登用を行う。そして、そのため、機会や経験を公平に均等を図り、社内・社員同士の活発なコミュニケーションが風通しの良い職場をつくり、それが企業文化として定着することが大切なのではないか、とまとめてくださいました。
 2000年代に女性活躍推進として行ってきたこととして、頑張っている人を応援する様々な両立支援制度等をご紹介いただきました。その中で「“会社がやるのは両立支援であって育児支援ではない。会社の成長のためにみんなの力を活かしてほしい。”ということをきちんと明確に伝えておく必要がある。」というメッセージがありました。
 2010年代は後任の方々が担当となり、ダイバーシティ推進委員会を設置したり、女性管理職を育成するための研修やKPIも設定され、進捗が図られてきたそうです。両立支援はあたりまえになり、女性役員、ママの管理職も輩出も進んでこられているとのことでした。
 ダイバーシティを推進するためには、仕組みだけでなく、人材や組織そのものを開発し有機的につなげることが大切であり、中でも“理念・目的を企業文化に一致させること、経験・機会の均等とコミュニケーションが大切”ということで、さらに掘り下げていかれました。
 理念を実践する企業文化として、“本音と建て前の一致”と“トップへの正しいレポート”が挙げられました。正しい情報が正しく伝らなければ、トップが正しいジャッジメントができない。いい会社にするためには、本当にいい会社にならなければいけない。本当にダイバーシティをやるなら、本当にダイバーシティをやる会社にならなければいけない。縦だけではなく、横や斜めからも情報を集め、正しい施策に落としていく。この繰り返しで理念を実践する企業文化の組織になるのではないか。
 均等においては、まずは“黄金の3割”を目指すべき、との話に“目標とするなら5割では?”など、参加者との意見交換もありました。また、真の機会均等においては、性別役割分業意識の呪縛や潜在的な思い込みが誰にもあり、ここを打破することが必要である。また、「産める選択、育てる社会」として、女性は産むけど育てるのは男女とも・社会である、ということが一般化できれば均等意識が変わるのでは?令和の時代は、子供が生まれたら男性・女性、両方半々で育休をとる、そんな会社がでてくることを期待したい、と続きました。
「ガラスの天井」と「くっつく床」というけれど、「くっつく床」から足が離れない人がいるし、足が離れない仕組みになっている。そこを変えなければ、「ガラスの天井」はまだまだ遠い、だからこそ継続した取り組みが必要なのだと感じました。
 コミュニケーション力としては、わきまえないで本音が言える、意思決定ができるようになることが必要で、意思決定の場にたどり着けるような、ノウハウとしてのコミュニケーション力のブラッシュアップも必要であると感じていらっしゃいました。
 結びとして、社会の仕組みや法律を変えていくことも企業活動にとって大切であり、日本の現状(出生率、女性管理職比率、ジェンダーギャップ指数の低迷・停滞)もよりよくしたい。「セカンドキャリア、サードキャリアでは、もっといい社会を次世代に残すというミッションを意識していきたい」という未来への言葉がありました。

◆組織のこれからを担う皆さんへのエール
 最後に「知っておきたかったこと ~サラリーマンからビジネスパーソンへ~ 」として参加された皆様へのメッセージをいただきました。
・会社人生・機会は有限
いつまでもできるわけではないので、今、大変かもしれませんが、できる期間は限られているのでその期間の中で思いっきりやっていただきたい。
・組織・仕組み・人を知る
自分の会社がどうなっているのか、組織図を見る、自分の部署の立ち位置を理解する。
・発言する、勇気・自信、コミュニケーション
女性活躍、ダイバーシティ、そしてリーダーシップにおいても自信を持って発言する勇気を持つ。
・外、ヨコ、ナナメのリレーション
縦だけではなく、様々な関係の方とつながりを持つことが大事。

最後に「皆さんと共に、女性が幸せに輝く会社にしたい、女性が幸せに輝く日本にしよう、誰もが幸せに輝く日本にしよう」という力強いメッセージをいただきました。
浅山さま、貴重なお話をありがとうございました。

(文責:田中慶子、山岡正子)
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