2020年9月11日(金)
第4回「女性研究者の活躍とダイバーシティ推進 ~研究員26年の歩みとここ2年間~」

【1部】まず初めに植田より、皆さまに企業・組織の在宅ワークやリモートワークの実施状況と女性活躍推進、ダイバーシティ推進の状況、個人の自主的なキャリア構築について、アンケート結果の共有が行われました。在宅ワークやリモートワークが行われていますか?という質問に対しては基本的に在宅は7%。週3日~4日が46%、週1日~2日40%、9割以上のところでテレワークが実施されていることがわかりました。
 続いて女性活躍推進の状況について、組織における女性比率は?という質問に対しては「10%未満」27%、「10~19%」2%、「20~29%」33%、「40~49%」20%、「50%以上」20%ということがわかりました。「女性活躍推進に対して何か施策をしていますか?」という質問では「行っている」が13%、「少し行っている」が34%となっていました。一方、「止まっている」13%、「行っていない」20%ということがわかりました。おこなっている内容としては女性を部下に持つ上司育成(イクボス)や一般さん事務職からの職種変更推奨などがあげられていましたが、昨年まではダイバーシティ推進担当を置いて大々的に研修等を行っていたものの、今年からは女性に特化した研修等は行わず、男性と一緒に行っているという企業もありました。
 続いて女性管理職比率は「10%未満」が73%、「10~19%」が14%と残念ながらそれほど増えていないことがわかりました。女性管理職育成&応援に関して何か施策を行っていますか?という質問に対しては「行っている」13%、「少し行っている」が34%、「計画中」7%となっているが、「止まっている」は7%、「行っていない」27%という状況でした。ダイバーシティ推進に関して何か施策をしていますか?という質問に対しては「行っている」が27%、「少し行っている」が20%、「計画中」が13%となっていました。一方、「止まっている」13%、「行っていない」20%ということがわかりました。個人の自主的なキャリア構築に関して何か施策を行っていますか?という質問に対しては「行っている」27%、「少し行っている」13%、「計画中」33%となっており「行っていない」は20%ということがわかりました。

 アンケートの結果を受けてのグループワークでは、下記のような意見が伺えました。
・在宅勤務は元に戻ることなく続いており、続いているが故のメンタルの声が上がっている。
・工場がある会社では、在宅が緩みそうになってきたので、トップダウンで指令がでたところ、なぜ、在宅をやるのかという本質よりも数字合わせのようになっているようなところもある。
・女性活躍については、社長直轄でダイバーシティを推進している会社は、活動も活発で女性活躍も進めやすく、また、社長が推進していてもその下の役員で止まっている会社もあり、トップの強烈な推進力があれば、進んでいくとの話がありました。
・管理職比率を上げるという観点で、年代別に男女を比べたところ、男性は年代に合わせて上がっていくが、女性は同じようには上がっていかない。ライフイベントが影響しているのではないかとの視点で分析しているそうです。もう一つの会社は女性比率が7%、管理職 100名のうち2名が女性。少ない女性の中から女性管理職を作っていこうという意識はあまりないようです。
・わが社では女性社員比率は高いのに、女性管理職比率は少なく、問題があることを改めて感じた。
・女性活躍推進については、社内ではもう今更やることではないという雰囲気が漂っているが植田先生の「何もやらなければ女性管理職比率は絶対に上がらない」というご意見を聞いてその通りだと実感した。
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【2部】産業技術総合研究所にお勤めの佐藤さんから、「女性研究者の活躍とダイバーシティ推進 ~研究員26年の歩みとここ2年間~」をテーマにお話ししていただきました。
 産業技術総合研究所(以下、産総研)は、1882年に設立された農商務省地質調査所を起源とする公的な研究機関で、2001年に通商産業省工業技術院傘下の15の研究所と計量教習所が統合再編され、現在、国立研究開発法人として活動している団体です。
 佐藤さんは産総研の前身である工業技術院生命工学工業技術研究所に就職され、バイオメディカル部門でバイオセンシング技術や、海水のpH測定などの研究、省エネルギー技術研究部門に異動後は蓄電池などの研究に携わり、2016年10月にグループ長に就任されました。グループ長として電池に関する報告書を研究員とともに作成し、「さぁ、これから!」というときに、ダイバーシティ推進室室長への辞令が出ました。「まぁ、望まれているうちが花かな」と思い、結構悩んだ末に「その時その時ベストをつくせば、何か見つかる」と、23年間の研究職からの異動を決心されました。
 異動して実感したことは、研究職は個性を光らせるのに対して、事務職は部署のカラーを優先するなど、研究職と事務職との価値観の違いに大変悩まれたそうです。事務職の管理職というものを全く知らなかったからこそ、引き受けることができたのかもしれない、知っていたら絶対引き受けなかった、とおっしゃっていました。
 ダイバーシティ推進室では、女性活躍推進法行動計画、次世代法行動計画、産総研第4期ダイバーシティ推進策がそろって2020年3月31日に期限を迎えるため、次の行動計画を作成することになり、所内会議、理事会を何度も何度も繰り返し、法対応の行動計画を2020年3月31日に東京労働局に提出、2025年3月31日までの産総研ダイバーシティ推進策も無事策定されました。その中でわかったこととして
① 結局誰もやらない。責任を取る人がいない。私が中心になってやるしかなかった。
② 時系列をよく確認。上層部の予定を押さえることが何よりも大切。
③ 上司も人間。同じことでも理解してもらいやすい、通りやすいタイミングがある。
④ 仲間(話を共有してくれるひと)を確保。敵を作ったらアウト。
の4つを挙げられていました。
 産総研のダイバーシティ推進の課題としては、①女性研究員の確保、②女性管理職の育成・登用、③職員のモチベーション向上、④ダイバーシティ推進に向けての風土醸成、があるとおっしゃっています。
 今年の10月で当初の任期2年を迎えるので、異動があれば研究職にまた戻るのではないかとのことです。ダイバーシティ推進室での事務職管理職で得た経験が、調整力など何かほかのことに役立つかもしれないと期待されており、一生懸命やりきって良かったと思える2年間だったそうです。研究員としての頭は錆びついてしまったかもしれないが、漠然と生きていてはもったいない、また1から立ち上げ直し研究もがんばろう、と決意を新たにされていました。

参加者からは、「佐藤様の変化を前向きに捉えていらっしゃるバイタリティに勇気をいただいた」「様々な困難を乗り越えていらっしゃっていて、そのモチベーションはどこから来るのかを是非教えていただきたいと思った」とのコメントがあり、研究会後の交流会も盛会となりました。佐藤様、どうもありがとうございました。
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<次回のオンライン研究会のお知らせ>

【第5回オンライン研究会】2020年10月7日(水)
令和時代に進化・発展の道か?停滞・消滅の道か?
~問われる組織と個人の選択~
登壇:主催者 植田寿乃

皆様のご参加を心よりお待ち申し上げています。引き続き、どうぞよろしくお願い致します。
(文責:田中慶子、高久和男、山岡正子)