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活性化して成長&発展し続ける企業になるために取り組むべきことは根底で全て繋がっています。 ダイバーシティ推進、女性活躍推進、働き方改革、イクメン推奨、イクボス教育、シニアのモチベーション向上、多角的な切り口で、参加企業メンバーが互いの実体験、課題を共有しさらなる取り組みの方向性を見出すことと、企業を超えて、信頼で結ばれたネットワークの構築を目指す研究会です。

2018年8月31日(金)開催 【第8回】ダイバーシティ&インクルージョン研究会レポート

2018年8月31日(金)
第8回『働き方改革時代の新入社員の人生観、価値観と採用&教育』

第8回目は、ゲスト・事務局合わせて16名の参加となり、下記のような3部構成で開催しました。
【第1部】主宰者 植田による事前アンケートの分析結果報告
【第2部】「働き方改革時代の学生の人生観、価値観」
キャリアコンサルタント・社会保険労務士 臼井淑子氏
【第3部】「働き方改革時代の新入社員の人生観、価値観と採用&教育」
コープデリ生活協同組合連合会 人材開発部 次長 太田邦江氏

【第1部】主宰者 植田による事前アンケートの分析結果報告(回答数:15社)
 アンケートでは、ここ3年での新入社員の傾向についてお伺いしました。採用人数は、増えている、やや増えているが40%、男女比は、66%が男性の方が多い傾向ですが、ほぼ同じが27%となり、男女比が同じに近づいてきてるようです。新入社員の特徴については、“当たり前だが、根性論は通用しない”、“ワークライフバランスへの関心が高い”、“コミュニケーション下手”、“打たれ弱い人が増えている”、“女性の方がたくましさを感じる”などのコメントがあり、よりリアルな話が聴きたいと、この後の事例発表への期待が高まりました。ました。新入社員の採用に関しては、70%以上の会社が苦労していると回答しており、有望な社員は他社との争奪戦となるなど、深刻な人手不足の様子が伺えました。入社3年以内に退職する人は増えている、やや増えているが40%、新入社員に対する教育期間は1ヶ月以上3ヶ月未満が20%、3ヶ月以上が46%と、長期にわたって手厚く実施されているようです。キャリアカウンセリング等の個別フォローも54%の会社が実施しており、メンター制度を導入しているとの回答も33%ありました。新入社員の教育に関しては、70%以上の方が課題や問題があると感じていることから、今後の改善・改革が必須である考えられます。グループディスカッションでは、人材開発、採用関係、労働組合等、様々な視点から活発な意見交換が行われました。

【第2部】「働き方改革時代の学生の人生観、価値観」
 臼井さんからは、「働き方改革時代の学生の人生観、価値観」をテーマに、大学、大学院における学生の実情をお話しいただきました。2児(小学生)を育てながら続けてきた大学でのキャリアアドバイザーは7年目を迎え、現在は企業でのキャリア研修講師、社会保険労務士としてもご活躍中です。
 自己己紹介では、やりたい仕事が見えていたのに、たどり着き方がわからなかった就活の話や、大好きなビールの会社に入社したものの、やりがいに悩んだキャリアの壁、そして人と深く関わりたいという想いで人材開発業界に転身したことで、自分がやりたかった仕事がキャリアカウンセラーであると気づいたというお話を伺いました。営業マネージャーとして活躍していた人材開発業界は、残業、徹夜が当たり前なハードな職場だったそうです。臼井さんは、子育てをしながらも働き続けたいという想いが強く、復職してからは一人働き方改革を進め、時間がない中でも業績をしっかりあげてこられました。しかしながら、マタハラとも感じる処遇を受け、会社を退職して独立の道を選ぶと共に社会保険労務士の資格を取られました。大学でのキャリアアドバイザーの仕事を選んだ根底には、このようなご自身の経緯から、学生が職業選択する際の可能性を拡げてあげたいという想いがあったそうです。
 臼井さんからの“学生から、一番多い相談は何だと思いますか?”という問いかけに対し、各テーブルからは、“自分には何が向いていますか?”、“強みって何ですか?”、“何をしたら受かりますか?”、“自分が何をしたいかわからない”などの意見が出ました。実際に多いのは、“やりたいことが分からない”という相談とのことでした。自己分析が不十分であり、仕事や会社、社会のことも知らなさすぎる。また、今まで、他人に言われたこと、求められることをやってきたので、自分のやりたいこがわからないし、自分の気持ちもわからない。そもそも働きたくない、という正直な本音も見え隠れしているようです。また、やりたいことはあるのだけれど、それが仕事に結びつくとは思えなくて、仕事用のやりたいこと(大学で研究してきた成果を活かせる仕事)を見つけようとするという学生もいるそうで、そんな方には、枠を取っ払って、興味のあること、やりたいことに挑戦するよう背中を押してあげるそうです。
 学生が企業を選ぶポイントとしては、「やる気学生」と「守り学生」では大切にしている価値観が違うというお話をいただきました。「やる気学生」が大切にしている価値観は「成長」、“自分が成長できるかどうか”が基準となり、若いうちから仕事を任せてもらえるか、成長できるのであれば、ハードな働き方も受け入れられる、でも、無駄な仕事はしたくないし、成果に見合った報酬がほしい。「守り学生」が大切にしている価値観は「安心」、守り学生から問いかけられるのは、「ホワイト企業の探し方」。“仕事はそこそこ何でもいいから、安心して辛くないところで働きたい“、と守りに入る背景には、労働とは「辛いもの」という先入観があり、それは昨今の過労死、過労自殺の報道や、両親の働いている姿からの影響が大きいのではないかと思われるとのこと。「守り学生」は、決してやる気のない学生というわけではなく、“やるべきことはちゃんとやるので、自分の時間もちゃんとください。眠る時間をください。人間らしく生きたいです。”という、極端に会社や仕事に対する恐れがあるのでは?と感じられるそうです。また、「やる気学生」「守り学生」、どちらにも選ばれない企業として、「昭和の軍隊型の組織」が挙げられました。実力よりも年功序列、個人の成長よりも企業の都合、滅私奉行を強いる、長時間労働できる人を重用する。このような組織風土の企業はいずれの学生からも敬遠されてしまいます。
 参考データとして、日本生産性本部が発表している2018年度の新入社員意識調査の結果をご紹介いただきました。「第一志望の会社に入社した」方は80.6%と過去最高。「自分のキャリアプランに反する仕事を我慢して続けるのは無意味だ」と思っている方は38%で6年連続増加傾向、こちらも過去最高。さらに「残業が少なく、平日でも自分の時間を持て、趣味などに時間が使える職場」を望む方も75.9%で過去最高という数字から、臼井さんが実体験で感じていることと合致した結果だったということです。
 その他、相談を受けていて気になることとして、LGBTへの理解、内定ブルーの戸惑い、発達障害等、メンタル不調、海外留学生(言葉の壁)があり、社会全体の課題とも感じられました。
 最後に、「学生の就活に対して会社側ができること」とてして、いくつかのポイントをお話しいただきました。“★「判断材料」となる情報提供が重要”、学生はとにかく社会、会社を知らないので、働く姿がイメージできる情報があると仕事への理解が深まり、入社後のミスマッチを防ぐことにもつながります。“★内定者フォローはきめ細かく”、たとえ第一志望の会社に内定をもらったとしても、「これで人生が決まってしまう、そのあとは修整不可能なのではないか」、そんな不安な気持ちでいっぱいです。一人ひとりの気持ちに寄り添い、一人の人間の人生を引き受ける覚悟で関わってください。“★学生の本質を是非見てください”、志望動機がうまく言えなくても、ここで働きたいという強い気持ちや意欲、才能、可能性を見出してください。“★ダイバーシティ推進・働き方改革はもはやスタート地点”、制度の整備は当たり前で、時代の変化によって「働く」という定義が変わってきました。その人それぞれの基準や価値観の中で、個々が持つ「働きやすさ」が企業選びの重要なファクターではあると感じていらっしゃるとのことでした。
 発表の要所要所で参加者との意見交換の時間を取りながら進めていただき、より理解を深めることができました。ありがとうございました。

【第3部】「働き方改革時代の新入社員の人生観、価値観と採用&教育」
 コープデリ連合会の太田さんから、「働き方改革時代の新入社員の人生観、価値観と採用&教育」をテーマにお話しいただきました。最初にコープデリ連合会の歴史と共に太田さんの自己紹介をお伺いしました。コープデリ連合会は、長年にわたり合併、加入が行われ、現在1都7県7生協の連合会として、宅配、スーパーマーケット、福祉、共済・保険など暮らしに関わる事業を営んでいます。太田さん自身は1987年に新卒で入職され、数々の部署を経験したのち2003年から人事教育部教育担当となり、現在は人材開発部次長として、連合会全体の職員の教育、組織開発に携わっていらっしゃいます。
 まずは、採用の現状を伝えたいという事で、中途採用に応募される方々の本音部分をお話しいただきました。転職理由としては、“子供と一緒にいられる時間を作りたい”、“転勤がなく自宅から近い職場で働きたい”など、男性、女性に関わらず「お金や出世よりも、家族や自分を大事にしたい」という内容が増えていると実感しているそうです。その背景には、ここ数年、パート社員の採用できなくなったことから、エリア限定職の募集(通勤時間1時間以内)を始めたことがあるとのことでした。総合職より低めの収入にも関わらず、将来的にエリア限定から総合職を目指せるのであれば、今は家族との時間を大切にしたいと考える30代、40代の男性も増えているとのことで、ワークライフバランスに拘って転職活動をする方が多いという印象があるそうです。
 続いて新卒採用者の価値観や教育体制についてお話いただきました。今年度の志望動機のキーワードとして多かったのが、1.「人」、2.「地域」、3.「食」、4.「貢献」、5.「職員」となり、数年前と比較して変わってきたポイントを下記のように上げられました。“1.職員の姿を見て「働きたい」とう応募が増加”、子供の頃に見た配達のお兄さんやお姉さんの姿、インターンシップで見た働く人の姿、説明会で見た職員の方々の笑顔など、自分が見て、感じた姿を信じて応募する学生が増加、さらには、親の名前を明かさずに職員の子供が応募してくるケースも増えているとのこと。“2.10年前多かった「制度が充実しているから」は皆無”、出産・育児に関わる制度が充実していることは、どこの企業でも当たり前となったことから、制度の充実を挙げる方はいなくなったそうです。“3.「地元で、身近な、安心できるところで働きたい」は以前から多いが微増”、地域密着型の組織なので、以前から多い理由ですが、さらに増えていると感じるそうです。“4.「人とのつながり」が増加”、以前はバイヤーをやってみたい、商品開発の仕事がやりたい、品質管理の仕事をやりたい、と言う人が多かったそうですが、最近では、何をやりたいより、人とのつながりに重きを置く人が増えているそうです。しかしながら、人とのつながりを重視しているわりに、コミュニケーションの取り方がわかっていない。ということもあり、新卒採用時研修で重点を置いている項目へと続きました。
 新卒採用者の特徴として、志望動機のキーワードの1番に「人」と関わりたいと挙げているわりに、電話ができない、挨拶ができない、知らない人には興味がないなど、少人数の付き合いには慣れているが、チーム経験が少ないように感じられるそうです。新卒採用時研修では、先輩職員がサポーターとして参加する5日間の合宿研修を皮切りに、仕事の疑似体験、実務研修など約1ヶ月間にわたり手厚く実施されています。浮かないように、目立たぬように、失敗しないようにと行動しがちなだけに、今年度の重点項目の1番目には“「失敗してもいいからチャレンジすることの大切さを体感させる」しくみづくり”が掲げられていました。コミュニケーションの基本となる挨拶については、研修中に“あいさつ競争”を2回実施し、お客様はもちろん、配属先の方々とも良好な関係が築けるよう、自分から元気に挨拶できる態度を身につけていきます。
 2番目に掲げられている“一人ひとりに対応することとチームづくり”におけるサポーターの役割は大きく、“1.躾”、“2.理念の伝道師”、“3.商品を語る(理念の伝道師)”、“4.気づきを促し成長を助ける”、などの役割が任せられます。サポーター1人あたり約6人の新人を担当し、日々の成長記録シートには“昨日できなかったことが、今日できるようになった”、“どんな顔をして、どんなことを言っていた”など、先入観を持たず、事実を”書き留めていきます。また、“〇〇の発言良かったね。”、〇〇にチャレンジできたね。などをメモした「いいねカード」も渡していきます。新人にとっては、自分を見てもらっている、認めてもらえているという自信につながると共に、サポーターにとっては、新人をしっかり見る大切さ、安易に教えるのではなく、自分自身で何を発見したのかを気づかせ、見守るという経験が積まれることで、リーダーとして必要な学びができていると感じました。
 3番目の項目である“「なんのため」という目的・意味・意義の追求”では「仕事には全て目的がある」というメッセージと共に、「誰に対して」「何のために」を繰り返し問いかけることで気づきを深めます。また、サポーター自らの感動経験を語ることで理念の持つ意味の理解を促します。4番目の“「相手の立場に立つ」という多様性の理解”では、高齢者疑似体験や視覚障がい者ガイドヘルプ、認知症サポーターを体験し、5番目の“成長実感を味わう”では、日々、節目の振り返りにおける周囲の方への感謝と共に、自信の成長を確認し、研修の最後には印象に残った場面をイラストで残すことで、気づきを深めているとのことでした。
 最後に新人育成に思うこととして、居場所作りの大切さのお話をいただきました。期待と不安な気持ちを抱えている新人だからこそ、ここにいていい、ここがあなたの居場所なのだと伝えることが大切。迎え入れてもらえている、受け入れてもらえている、という安心感こそが、自信と成長につながるのだと感じました。
 太田さんには、たくさんの写真や資料を準備いただくと共に、大変参考になる発表をいただき感謝致します。ありがとうございました。
(文責:キャリアコンサルタント 山岡正子)

【第8回】ダイバーシティ&インクルージョン研究会

◆2018年8月31日(金)
第8回『働き方改革時代の新入社員の人生観、価値観と採用&教育』
<<講演ゲスト>>
コープデリ生活協同組合連合会 人材開発部 次長 太田邦江氏
キャリアコンサルタント 臼井淑子氏

参加ご希望の方は、下記アンケートにご協力くださいませ。
https://goo.gl/forms/7tQ7wmVD0LiSAhZ33

<<開催概要>>
【日 程】2018年8月31日(金)
【時 間】13:30~16:30(13:15開場)
【定 員】30名(原則1社につき2名まで)
     3名以上で参加をご希望の場合はご相談ください
【参加費】研究会登録法人メンバー … 4,000円
     初参加(法人未登録)の方 … 5,000円
     (いずれも、領収書を発行致します)
【会 場】野口英世会議室 (貸会議室Spacee 3階)
              東京都中央区八重洲2-6-2 ヒューリック八重洲第3ビル3階
会場は「JR東京駅八重南口から徒歩1分の会議室」となります。
遠方からもご来場しやすい会場となりますので、ぜひ参加ご検討くださいませ。

<<懇親会>>
【時 間】17:00~19:00 or 19:30
【場 所】東京駅近辺のレストランへ移動
【費 用】4,000円~4,500円
     (レストラン名にて領収書を発行致します)

*定員に達し次第締め切りとなりますので、お早めにお申し込みください。
*懇親会会場は参加人数により変動するため、当日のご案内となりますが上記金額内で設定させていただきます。
*会場手配の都合上、ご都合により欠席される場合は、研究会、懇親会ともに2日前までにお知らせください。
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■ダイバーシティ&インクルージョン研究会■
担当:山岡、神田、植田
〒107-6028港区港南2-15-1
品川インターシティA棟28階
有限会社キュー
ダイバーシティ&インクルージョン研究会研究会事務局
事務局アドレス:diwo@que.co.jp
研究会URL:http://diwo.jp
TEL 03-6717-4143  FAX 03-3490-7798
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2018年5月10日(木)開催 【第7回】ダイバーシティ&インクルージョン研究会レポート

2018年5月10日(木)開催
第7回ダイバーシティ&インクルージョン研究会
~厚労省のモデル就業規則から副業禁止が消えた!~
『副業、兼業をリードするロート製薬の先進的な取り組みとは』

第7回目は、ゲスト・事務局合わせて22名が参加しました。
今回は下記のような2部構成で開催しました。
【第1部】主宰者 植田による事前アンケートの分析結果報告
【第2部】ロート製薬株式会社 山本明子さんによる講演&グループディスカッション

【第1部】主宰者 植田による事前アンケートの分析結果報告_事前アンケートより(回答数:16社)

 就業規則で社員の兼業・副業を容認している企業25%、禁止している企業69%。容認例として、単発の講演や原稿執筆/労働審判など公の仕事/社会貢献にあたる、等に限定されている状況です。禁止している理由として、本業に支障が出ないように/勤怠その他業務内容の管理ができない/昔から禁止している等があげられました。 「報酬を得て営利目的とする他の会社等の役員または従業員となる場合は、予め会社に届け出て許可を得なければならない。」など具体的に就業規則内に記載されている企業もありました。
 しかし、実際に兼業&副業している人がいるかの問いには、いる及び少しいる_2割。 いない_1割、不明が7割近い。兼業&副業に関し人事も本人もオープンにしていない現状が伺えます。
兼業・副業の会社への影響については、回答5肢の中で、やや良い影響を与える25%、分からない75%と、2肢に集約されました。また、兼業&副業を推進するために問題課題が少しあると回答した企業79%、わからない31%と、これも回答が絞られました。
 回答者が実際に兼業・副業をしているかの設問では、過去の経験含めて3割程度。
全体的に、肯定コメントは「社員の収入面のフォローとなる/社外から吸収してくることから業務への問題意識の高まり、効果的な仕事ができる/様々なネットワークを持つここで業務へ応用できる機会が増える/個人のモチベーションに寄与」、否定コメントは「副業の業務次第では本業へのシフト影響や疲労、転職に繋がる懸念/労働時間管理、健康障害などの影響/本業が疎かになる/機密保持や社内コンプライアンス抵触しないか/人材流出の懸念」など具体的に列挙されました。
兼業・副業の実態が掴めない中で柔軟に対応している企業もあり、各社の姿勢や迷い悩みも読み取ることができました。
他、会社制度についての設問回答は次の通りです。
・退職金制度は回答企業全て導入しています。
・異動希望、職種変更希望などの自己申告制度がある企業は9割近い。
・今後10年、終身雇用的な安定雇用を続けられる可能性については(高い12%/、やや高い44%/、やや低い6%/、低い13%/、わからない25%)と回答が分かれました。
・退職者数については(増えている25%/、やや増加31%/、やや減少6%、減少0%/わからない38%)と退職者は増加傾向であり、これも兼業・副業に関する議論の起点になりえると思料します。

【第2部】ロート製薬株式会社 山本明子さんによる講演&グループディスカッション

 今回は講演ゲストとして、ロート製薬株式会社 人事総務部 第2人事グループ マネージャー 山本明子さんにご登壇いただき、兼業、副業をリードするロート製薬様における「働き方改革」の取り組みについてご講演いただきました。
 ロート製薬様の根底にあるのは、ホームページのスローガンにもある「NEVER SAY NEVER」“決してあきらめないこと。不可能を可能に変えていくこと。常識の枠を超えて挑み続けること。ひとりひとりを、社会を、もっともっと健康にしていくために、ロート製薬は決して立ち止まらない。”です。
「働き方改革」においても常識を疑うことからスタートしており、その根底にはあるのは、自らが考えて挑戦する、挑戦してもいいんだ、という雰囲気と風土の醸成をしてきたことが大きいというお話しから、挑戦や自主性風土の歴史として「環境面」、「制度面」、「場の提供」での取り組みをご紹介いただきました。
 「環境面」では、年齢関係なく議論ができるよう役職呼称を禁止されており、オープンオフィス化では、社長室や会長室を廃止し、役職者の席も島の奥(上座)から通路側に移すことでスピーディかつ円滑なコミュニケーションが取れるような仕掛けが行われています。また、雇用形態に関わらず全社員が参加するイベントや、お誕生日月には家族と共に祝えるようホールケーキがプレゼントされるなど、家族への感謝と全社員が一体感を持てる風土作りが実施されています。「制度面」では、個人の自主性を尊重する人事制度として自己申告書&昇格チャレンジ制度が施行され、成長するために自主的に手を上げる向上心とチャレンジ精神が求められるようになりました。しかしながら、仕事が出来さえすればいいというのではなく、一大イベントの運動会では挙手制度でスタッフを募り、企画立案から実施までまかせるなど、社員の主体性を本気で育てる取り組みが行われています。「場の提供」としては、全社員参加のディスカッション、子育て社員のママの会、異業種交流活動、起業家マインドを学ぶ会などを実施し、社内だけでなく社外からの刺激も取り入れる場を提供してこられたとの事です。ロート製薬様の根底にある文化として、「自分たちで考える」ということがあり、自分たちでやるからこそ、枠にとらわれず大胆で自由な発想ができる、素人がもがき苦しむからこそ、個人からプロへと成長することができている、とのお話しでした。
 兼業と兼務が生まれた背景としては、2003年からスタートしたARKプロジェクト(明日のロートを考える)があり、会社の制度はすべて人事が考えるもの?という疑問から、社員自身、特に若手が自分たちで考えて創り上げた会社のほうがよいのではないか?ということで様々なプロジェクトがスタートされたそうです。2014年には人事制度改革プロジェクトとして新しい働き方が提案され、プロジェクトの初期には、評価や昇格要件がわからない、残業を減らすには?もっと働き易い環境にするには?についての話し合いが行われ、プロジェクト後期には、そもそも自分はどんな人生を歩みたいかについてメンバーで考え、一度きりの人生なので、世間で通用する人材に早く成長したい、そのためには倍量倍速の二刀流が必要ということに。そこから、社外チャレンジワーク(兼業)、社内Wジョブ(兼務)が生まれ、新しい仕事に飛び込み、刺激を受ける事で仕事の幅を広げ、成長を後押しするという動きになられたそうです。
 スタート時、社内Wジョブ(兼務)は、入社3年目以上の正社員が、自己申告書提出時にエントリーし、年に一度の異動発令時に兼務を発令でスタート。現在は随時受け付けが行われており、人事が部署の間に入って調整し、兼務の割合は各部署で相談し実施されているそうです。初年度ダブルジョブ希望者は100名ほど。実際の辞令発令者は30名強いらっしゃったそうです。兼務例としては、営業×人事、品管×学術、購買×国際などがあったとのこと。実施者からは、仕事の効率を意識するため段取り力がアップする、社内人脈広がることで、仕事がしやすくなる、関連する部署での兼務の場合は、本業とのシナジー効果がある、役職者が兼務することで、メンバーが自立し育つという意見があり、一方で、活躍している人ほど、実質オーバーワーク気味であることが課題であるとおっしゃっていました。
 社外チャレンジワーク(兼業)については、対象者は社会人3年以上の正社員、中途入社も可。条件は健康を害するような働き方はNG、社会通念上の倫理観に外れるのはNG、情報漏えいに繋がる兼業はNG。人事へ届け出たうえで、原則ロートでの就業時間外の時間を利用して実践。初年度については、60名ほど申請請があり、種類としては資格系、NPO系、事業系、従業員系などに分かれ、申請者の3割強が何かしらの活動を開始したとのこと。一方で、本業が忙しくて実施できない、需給が合わないという理由で実施しなかった方も。兼業への動機は夢と腕試しが大半で、お金が目的という方はいらっしゃらないとのことでした。3年目の現在は70名の方が届け出ており、兼業の内容としては、調剤薬局勤務、コンサルティング、ライター、ローカルプランナー、デザイン会社設立、NPO法人に参画、大学非常勤講師、子どもの教育事業、喫茶店勤務などと伺い、多様性が感じられました。
 実施者からは、単純に普段と異なる仕事でリフレッシュとなる、社会貢献につながる、調剤薬剤師をすることで臨床現場がわかり、仕事にも副次的効果があるというコメントがありました。また、ロートでは味わえない刺激と緊張感がある、ロートの看板の大きさを知った、事業運営の厳しさを目の当たりにしたとの意見があったそうです。
 社外の方からは、“人材の流出にならないか?”、“会社のメリットはありますか?”、“人事サポートは?”についてよく聞かれるそうです。人材流出については、人材の流出はなく、会社へのロイヤリティがUPしているとのこと。会社のメリットとしては、事業主としての力をつけるチャンス、社外で得た視野視点が社内に変革を起こす可能性、社外ネットワークの広がりなど数多く、個人の興味や隠れた才能や資格を発見できる機会にもなっているとのことです。
“人事サポートは?”については、確定申告や保険関係についてのガイダンスは実施し、兼業をやりたい人の後押し支援を行っているとのことでした。就業規則の改変については、以前は“会社の許可無く副業することは×”でしたが、“成長を目的に兼業をみとめることがある”というポジティブな書き方に変更されたとのことです。
 兼業開始後の変化については、兼業解禁の認知により専門学校や技術系での授業講師の依頼、大学やセミナーでの講演依頼、地方自治体からの研修1年間受け入れ要請などがあり、兼業解禁企業の社員同士で新規ビジネスの立ち上げの話や、採用の現場では、兼業が認められる=先進&自由な企業という良いイメージ効果が感じられているとのこと。また、定年退職後のセカンドチャレンジに意識が向く方もいらっしゃるそうです。
 山本様は市場の変化の兆しとして、どこの会社でも兼業をしたいという人がポツポツ出現しており、副業を認めないと優秀な人ほど企業から離脱する可能性があるため、人事は話が出た時に対応できるよう今から準備しておく必要があると感じており、副業募集やマッチング事業としての新ビジネスも動いているので、兼業解禁が一気に加速するのではとおっしゃっていました。副業についての課題としては、強制にはしないものの、現在、一部の人がやっていることという状況をもう少し拡充できればとおっしゃっていました。
 山本様、貴重なお話をありがとうございました。

【グループディスカッションより】

■兼務について
・会社発信で発足された部門横断プロジェクトに、会社からの指名で参加している。
・社外の勉強会に参加する機会が増えたり、社内外のネットワークが広がったり、個人的には視野が広がりキャリアのプラスだと思っている。ただ、通常の業務が減らされることなく、プロジェクト業務が付与されたかたちなので、少しオーバーワークになりがち。健康管理など留意が必要。
・主務側と兼務側の部門長間で、それぞれどのような仕事をどれ位アサインするかなどきちんと話し合いがされないと、兼務はうまくいかないのではないか。

■兼業について
・今は終身雇用の時代ではないし、個人視点でキャリアアップや経験値を高めることを考えると、兼業OKは素晴らしい制度。それでも多くの企業が二の足を踏むのは、デメリットの方ばかりに目が行くから。過重労働になるのではないか、転職されるのではないかなど。ロート製薬様でこの制度が運用できるのは、個人の自主性を尊重する風土ができていること、会社が個人を縛っていない、メリットに目を向けているからだと感じる。
・好きなことはあるが、それは趣味で十分なのでそれを仕事に、とまでは現状考えていない
・会社に一生捧げるというのが当たり前の世代なので(40代前半)副業、と言われてもしっくりこない
・逆に、今の若い世代(新入社員、20代社員)は就社という概念がほとんどないようで、兼業という考え方に抵抗がないようだ
・役定後や定年後の再雇用時に収入が減少することを考えると減少分を補うために会社としても社員に対して兼業を促して収入の柱を増やすよう働きかけていくことも必要かもしれないと思った。

<次回の研究会予告>
◆2018年8月31日(金)13:30~16:30(13:15開場)
「働き方改革時代の新入社員の人生観、価値観と採用&教育」
講演ゲスト
コープデリ生活協同組合連合会 人材開発部 次長 太田邦江氏
キャリアコンサルタント/社会保険労務士  臼井淑子氏

皆さまの参加をお待ちしております。

文責:キャリアコンサルタント 長島裕子、パナソニック エイジフリー株式会社 小松多惠子、株式会社日経BPマーケティング 神田絵梨、キャリアコンサルタント 山岡正子

運営メンバー
植田 寿乃
植田 寿乃
有限会社キュー代表取締役
キャリアコンサルタント
ダイバーシティコンサルタント

山岡 正子
山岡 正子
キャリアコンサルタント
  ファイナンシャルプランナー


臼井 淑子
臼井 淑子
キャリアコンサルタント
社会保険労務士


昌宅 由美子
昌宅 由美子
キャリアコンサルタント
  ファイナンシャルプランナー


田中 慶子
田中 慶子
キャリアコンサルタント
  ファイナンシャルプランナー


高久 和男
高久 和男
キャリアカウンセラー
がんサバイバー


関連セミナー&講演情報
●2020年7月9日(木)10日(金)
「女性リーダーのためのエンカレッジ(応援)研修」
~リーダーとして「活き活き」活躍するための、気づき・ネットワークの獲得~
(講師:植田寿乃)
会場:NOMA 関西本部 専用教室(大阪科学技術センタービル内) 対象:女性管理職及びその候補者、中堅リーダークラスの方々など

●2020年10月22日(木)23日(金)
『モチベーション・マネージメント』公開コース
~部下・メンバーの心を動かし、モチベーションを引き出す「人間力リーダー」になる~
(講師:植田寿乃)
会場:NOMA 関西本部 専用教室(大阪科学技術センタービル内) 対象:管理職及びその候補者、中堅リーダークラスの方々など

●2020年11月19日(木)20日(金)
「女性リーダーのためのエンカレッジ(応援)研修」
~リーダーとして「活き活き」活躍するための、気づき・ネットワークの獲得~
(講師:植田寿乃)
会場:NOMA 関西本部 専用教室(大阪科学技術センタービル内) 対象:女性管理職及びその候補者、中堅リーダークラスの方々など